Thermopileサーモパイル

1. 受光面積

赤外線を吸収する吸収膜面積を表します。
吸収膜面積を大きくすると受光する赤外線量が増加するので、出力電圧を増加させることが出来ます。反面、時定数は大きくなり、応答速度が遅くなります。

2. 電圧感度

電圧感度とは、出力電圧を受光した赤外線パワー (受光部面積×赤外線密度)で割った値で V/W の単位で表されます。赤外線パワーが変わらない時は電圧感度が大きいほどセンサの出力電圧は大きくなります。

3. 出力電圧

ある特定の条件におけるサーモパイルの出力電圧を表したものです。出力電圧は測定する対象物体の温度によって変わるので、定格を表すものと、用途に合わせた条件の出力電圧を表しているものがあります。出力電圧が高いと、増幅回路にかかる負担が小さくなるので回路部品の低コスト化を見込めます。

測定条件1.

一般に赤外線センサの出力を表す時に使用される測定条件です。サーモパイルも赤外線センサなのでこの条件を用いますが、もともと焦電型赤外線センサ等の特性を現す規格なので、あまり最適な評価とは言えません。この評価方法は、サーモパイルの全視野に対して500kの黒体炉が占める割合が開口部(アパーチャ)によって制限されています。このためサーモパイルと基準器(黒体炉)に大きな温度差があっても、サーモパイルが受ける赤外線量は少なくなるので、出力電圧も小さなものとなります。

測定条件1.

測定条件2.

耳式体温計など、特定用途での出力電圧を表す条件として用いています。この評価方法は、黒体炉の温度(例:37℃)をサーモパイルの全視野に入れることで、受光する赤外線量が多くなり出力電圧が大きなものとなります。この方法でより現実的な出力電圧を知ることができます。

測定条件2.

4. 感度の温度係数

サーモパイルの電圧感度は周囲温度の変化によって変わります。この周囲温度による電圧感度の変化率を表したものが、(電圧)感度の温度係数です。感度の温度係数が大きいと、周囲温度変化によってサーモパイルの温度測定精度が悪くなります。また、周囲温度変化による出力電圧のドリフトは補正することが非常に困難なため、温度ドリフトは小さいものが要求されます。

5. サーモパイル抵抗

直列に接続された熱電対の全抵抗値をサーモパイル抵抗と呼びます。一般に抵抗体は常に熱雑音(ジョンソンノイズ)を発生しており、この雑音は抵抗値の1/2乗に比例して大きくなります。従って、抵抗値が高いほどノイズ電圧が大きくなります。また、増幅回路を構成する際、抵抗値が高くなるほど誘導ノイズ が大きくなるので、サーモパイル抵抗は出来るだけ低いことが望まれます。

6. サーモパイル抵抗の温度係数

サーモパイル抵抗は周囲温度の変化によって抵抗値が変化します。この抵抗値の変化率を表したものが、素子抵抗の温度係数です。サーモパイルのアプリケーション(増幅回路等)によっては、この温度係数が使用温度範囲に影響するため小さいものが望まれます。

7. ノイズ電圧

ノイズ電圧は、熱雑音(ジョンソンノイズ)の実効値を表します。この値は抵抗値の1/2乗に比例して大きくなります。理論的にはこの電圧値はサーモパイルが検知できる最小出力電圧となります。通常は、その他に発生するノイズ(誘導ノイズ、温度揺らぎ等)が支配的であるのであまり問題となることは有りません。

8. S/N比

出力電圧に対するノイズの割合を表したものです。この値が大きいほど、出力信号に対するノイズ信号が小さくなるので温度分解能の高いセンサといえます。

9. NEP

ノイズ電圧を電圧感度で割った値で、ノイズ電圧と等しい出力電圧を発生する受光赤外線パワー(雑音等価パワー)を表します。

10. 比検出能

受光面積の1/2乗をNEPで割った値を表します。ノイズ電圧は一般に受光面積の1/2乗に反比例します。それを補正して素子サイズの影響を受けない評価指数とする為に、受光面積の1/2乗を掛けた値となっています。

11. 時定数

サーモパイルセンサに赤外線パワーを入射し、出力信号が最大値の63.2%まで増加するのに要する時間をいいます。この値が小さいほど応答速度の速いセンサと言えます。

12. 透過波長帯域

サーモパイルは赤外線透過フィルターを装着しています。センサ自身は赤外線波長の選択性がなく、サーモパイルを耳式体温計等に使用する場合、赤外線フィルターが必要になります。人体から放出される赤外線は8〜12μmの波長で、この赤外線を選んで透過させるフィルターを装着しなくてはなりません。「Cut On 5 μm」といった場合、5μm以上の赤外線が透過することになり、人体から放出される赤外線を検知することができます。