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代表インタビュー

 

SEMITEC株式会社
代表取締役社長 石塚大助

 

──どのような経営理念のもと、事業を行われているのでしょうか?

  • 石塚:
  • SEMITECは1958年(昭和33年)に設立した会社ですが、「永遠のベンチャー企業」をテーマとしています。
    おかげさまで多くの国と地域に営業拠点、生産拠点を構え、従業員はグループ連結で3,709名(2021年3月31日現在)を数えるまで成長することができました。しかし会社が大きくなればなるほど考え方が固まってしまうものです。それでは技術革新のスピードに追い付くことはできません。常に危機感を持ち、未知なるものを追い続けるベンチャースピリッツが大事です。
    そのため、「発想の限界に挑戦し、高い技術に挑戦し、自己を高め、会社を高め、社会にあって会社の存在価値を高め、会社にあって自己の存在価値を高め、会社の発展と自己の幸福を追求する」と経営理念を掲げています。
    この経営理念は1991年10月に制定したものですが、ここでいうマインドは、時代に捕らわれず普遍的なものです。

──海外の拠点として中国や韓国、台湾と東南アジアを中心に展開されています。

  • 石塚:
  • 我々はインターナショナル企業として海外に営業拠点、生産拠点を増やしてきました。今後はグローバル企業として次の新しいステージに進もうとしています。
    インターナショナル企業とグローバル企業は同じではないかと思われるかもしれませんが、私は違うものと捉えています。
    インターナショナル企業は日本を中心として運営を行う形態です。しかし、グローバル企業は日本を中心にするのではなく、地球規模の国境がない世界。拠点を中心に運営する方向に変化させていきます。

 

──具体的にはどのようなことを目指しているのでしょうか?

  • 石塚:
  • 従来、現地拠点の社長は日本人が務めていました。しかしそれは好ましいことではなくなってきました。その国においてはその国の人が代表を務める。その国の文化に精通した者がその国で拡張させる流れにして行きます。
    そのため、現地の社長をはじめとした幹部社員の育成に力を入れております。最近では中国の拠点で現地の人材を社長として任命しました。少しずつ社長の置き換えを進めて行きます。
    そのことで、グローバルな販売展開も可能となります。国によって使われ方や必要とされる製品は異なります。その国に合ったものに変化させて行かなければなりません。
    もちろん、その背景のひとつに、日本の少子高齢化があります。日本の労働力が減少する将来において、企業はグローバル化を図らなければなりません。だからといって、日本で生産していたものを単に海外に押し付けるのは、真のグローバル化ではありません。まずはそれを変革して行きます。

──今後、海外展開は推進させて行くのでしょうか?

  • 石塚:
  • もちろん、必要なところに増やして行く計画です。ただし、世界情勢が激変しているため、細かく見て行く必要はあります。

──今後のセンサ市場をどう捉えていますでしょうか?

  • 石塚:
  • 従来、標準的な製品を安く大量生産する、もしくは要望に合わせてセミカスタムする、さらにフルカスタムする、の3つの市場がありました。今後は、セミカスタムがなくなり、大量生産かフルカスタムに二極化するものと考えています。
    とはいえ、大量生産の分野はもちろん、フルカスタムにおいても新興国の同業他社の品質が年々上がってきていることから、従来の日本品質では勝てなくなって来ています。そのためにも、「コト」にシフトして行かなければなりません。

 

──「コト」にシフトするとは?

  • 石塚:
  • 我々の主力製品はサーミスタという温度センサです。ただ、従来はサーミスタという「モノ」を売っていました。お客様はそれを「コト」に変換されて商品化されています。
    例えば、自動車のガソリンの残量を計測しているのがサーミスタです。そのことでユーザーは「あと、どれくらいまでガソリンは持つ」と分かります。お客様は我々のサーミスタという「モノ」を、ガソリンの残量を計測するという「コト」にしているわけです。
    しかし、我々はサーミスタに関してはどこよりも知識があります。残量の計測は、自動車以外にも応用が可能です。「こういう使い方をするとサーミスタはもっと活きる」という「コト」の活用方法を知っています。現在の事業を拡大することも大切ですが、今後は「コト」の提案を推進させることにも取り組んで行きます。
    また、お客様はサーミスタを部品として使っており、最後は加工し、カスタマイズされています。我々はそのカスタマイズの部分も支援する体制を取ろうと考えています。

──製品の提供だけではなくなって行く?

  • 石塚:
  • 我々は従来、メーカーを中心として事業を推進してきました。しかし、現在では将来、ユニコーンになるだろうという新興のベンチャー企業がたくさん生まれています。
    ところが、彼らはサーミスタという製品名を知りません。彼らが欲しいのは、実現したい「コト」です。先ほど言った、自動車のガソリンの残量を計測するような「コト」を求めています。「このようなことは出来ないだろうか」というニーズを捉え、いずれ大きくなるであろうビジネスに対して先に取り組むことを主軸として動いて行きたいと考えています。
    そのため、2021年4月より生体センシング事業化推進本部を設置し、我々の可能性を広げるための挑戦をスタートさせました。

──新たな事業に取り組んで行くのですね。

  • 石塚:
  • ユニークな取り組みを行っているベンチャー企業とはアライアンスをして行きたいと考えています。また、「コト」を売ることは海外にも広げて行きたいと考えています。
    弊社は海外にも営業拠点、生産拠点はありましたが、製品という「モノ」を売ることばかりを考えてきました。今後、5年で「コト」売りを拡大させていきます。

──さらに加速させて行くわけですね。

  • 石塚:
  • 我々は未知なるものを追い続けることをベースにしていることから、大学との共同研究も積極的に進めています。例えば、八戸工業高等専門学校および弘前大学と共同で『超精密高速温度センサ』を開発しました。これは、皮膚がんなどの患部を切除することなく非侵襲で確定診断やステージ診断する機器への応用が期待できるというものです。こうした付加価値を企業として今後も付加して行きたいと考えています。
    今後、伸びる分野は医療関係と捉えています。弊社でも「医療機器ヘルスケア用温度センサ」などを開発しました。世界よりも少子高齢化が進んでいる日本において、医療分野でイニシアチブを取ることが可能となれば、他国に付加価値を広げて行くことができます。
    また、SDGsという観点でも地球環境の改善のために我々が持つ温度センサ、光センサ技術は大きく貢献できると考えています。

 

──最後にメッセージをお願いします。

  • 石塚:
  • 世界がIoT化するなかで、センシングに注目されています。しかし、まだ、センシングを活用できていない企業は多くあります。また、企業では欲しているけれどその性能までは実現されていない製品も数多く存在します。
    我々には長年培ってきた知識と研究開発する環境があります。お客様をサポートすることで社会貢献に結び付けて行きたいという想いがあります。
    「インプット」と「アウトプット」、その間に「処理」という3つの機能があります。AIの登場によってアウトプットと処理は格段に飛躍しました。ところが入口であるインプットが遅れている状態です。また、インプットが間違っていたら、いくらアルゴリズムや解析を追求しても良いアウトプットにはなりません。我々の価値はこのインプットにあります。我々が突き詰めて行くべきはそこにあると考えています。
    SEMITECはこの価値を高め、ステークホルダーの皆様のご期待に応えられるよう、これからも挑戦を続けてまいります。

──ありがとうございました。