Thermistor薄膜サーミスタ

はじめに

温度センシングデバイスとして、最も需要のあるNTCサーミスタはセラミックス半導体の一種で、生産方法においては、さまざまな工夫が繰り返され生産性、長期信頼性、高精度化への進化をつづけている。しかし、いわゆる焼き物という領域の中での工夫に過ぎない。
SEMITECは、革新的な生産方法を確立し、NTCサーミスタを進化させた薄膜サーミスタ”FTシリーズ”をリリース、生産を拡大させている。

薄膜サーミスタ”FTシリーズ”

NTCサーミスタは、マンガン、ニッケル、鉄などを原料とし、それらを配合、焼成し、電極を形成したチップからリード線を引き出し、ガラスや樹脂でコーティングされている。
SEMITECは、NTCサーミスタのリーディングメーカとして、常に顧客のニーズにマッチした製品を開発し、先進的な製品を市場に投入し続けている。
薄膜サーミスタ”FTシリーズ”は、革新的な製法を用いた、従来のNTCサーミスタの延長上ではない新しい製品である。その製法は、半導体製造プロセスを用い、独自の薄膜技術を駆使することで、アルミナ基板上にNTCサーミスタを形成するものである。NTCサーミスタ自身の体積の微小化を可能とし、均一な製品の生産性にも優れたものである。
体積を微小化することで、NTCサーミスタ自身が被測定物にあたえる熱量の変化を非常に小さくすることができ、結果的に高速に温度をセンシングすることが出来る。また、その製法上、-①応答性、②測定精度、③信頼性-に優れた性能をもったNTCサーミスタである。
現在、チップサイズ1005タイプ、1608タイプを市場投入している。

薄膜サーミスタ[FTシリーズ]

薄膜サーミスタ”FTシリーズ”

電子体温計用

電子体温計用

適用例

薄膜サーミスタ”FTシリーズ”は、この高速応答性と、高信頼性の特長を生かし、さまざまな用途に適したサーミスタ温度センサ素子となる。以下に実例をあげる。

電子体温計

体温計用のNTCサーミスタで最も重要視される性能は、精度はもちろんであるが、如何にすばやく体温を検出できるかという応答性である。かつて、水銀方式では5分計が一般的であったが電子体温計では、1分を切り数十秒で測定終了するにまで高速化しており、短時間で測定終了することが電子体温計の付加価値となっている。薄膜サーミスタ”FTシリーズ”は、前述のような特長を持っているため、体温計の感温部~先端の金属キャップ~に密着させることができ、それ自体の体積が小さく応答性に優れているため電子体温計用サーミスタへのニーズにこたえるサーミスタとして販売を拡大させている。

非接触温度センサ”NCセンサ”

SEMITECは、被測定物に触れることなく温度を検知する非接触温度センサ”NCセンサ”をラインナップしている。物体からは、その温度に応じた量の赤外線が発せられているが、これがセンサ内に設けたフィルムに当たると、その量に応じて微小な温度変化が生じる。この温度変化を正確に捉えることで、物体に触れることなくその温度を検知することができる。従来、NTCサーミスタではこのフィルムの温度変化を捉えることが出来ず、サーミスタを用いた非接触温度センサは実現できなかった。なぜなら、このフィルムの温度変化量に対してNTCサーミスタ自身が大きすぎるために、フィルムの温度変化量に影響を与えてしまったためである。

FTサーミスタの体積は非常に小さいので、フィルムの微小な温度変化を捉えることが出来、NTCサーミスタを用いた非接触温度センサを可能とした。しかもFTサーミスタを用いたことで、高温環境下でも使用可能で汚れが付着しても出力変化が小さいという特長を持っており、OA用のトナー熱定着用ローラーの温度制御用、電子レンジの食品温度検知用など用途に最適化した非接触温度センサ”NCセンサ”を開発、市場投入している。

薄膜サーミスタ

薄膜サーミスタ”FTシリーズ”

今後の展開

現在までに薄膜製法をより高度に制御し、形成されるNTCサーミスタを均一化させることで、高精度、高信頼性の特長を継承した0401サイズの開発を行っている。更なる高速応答が可能になったことはもちろんであるが、今まで、NTCサーミスタを用いる領域ではなかった極小空間や、非常に小さな被測定物の温度計測が実現できる。薄膜サーミスタ”FTシリーズ”は未知の領域の温度計測を可能とするため更なる小型化、高精度化への展開を進めいている。
(2005年5月12日 電波新聞 ハイテクノロジー センサー技術特集に掲載されました。)

0401サイズ FTサーミスタ

0401サイズ FTサーミスタ